プロカメラマンが使う照明器具あれこれ

撮影セット

照明器具・ライトには発光方法に種類がありまして。
「定常光」「瞬間光」があります。

簡単に説明をすると。
定常光は「一定の明るさを保った光」で、
瞬間光は「瞬間的に発せられる光 」といった意味で使い分けます。

そして、プロカメラマンはライトを使う撮影にストロボを使うことが多いです。

プロはストロボ、瞬間光を使う

ストロボはコンデンサに電力を貯めこむ事で、瞬間的に大量の光を発する事ができます。
瞬間的にですが凄く明るい光なので

  • 絞りを絞れるようになり「ピント・被写界深度が深い写真」が撮れる
  • 瞬間光なので「ブレずらい」

という利点があり、この二点は商品撮影には重要です。
ピントが浅すぎる(狭い)と商品の形がわかりずらく、ブレた写真では細かなディティールが伝わりません。

ストロボを使う利点は他にもあって「安定している」「小型」「光の量が自在に操れる」などもあります。

定常光のライトがついている物もあります

モデリングランプ

ストロボは瞬間的に発光するので、どこに光が当たっているかわかりません。
なので、常時光っている定常光のライトもついているものが多いです。

モデリングランプと言われるもので、それで光がどう当たっているかを確認します。
写真の矢印の部分がモデリングです。そして、その周りにあるガラス管が瞬間光の発光管になります。

ストロボの光と光質が違うので参考程度になりますが、これが無いと光物の撮影等光の入り方が重要な撮影では相当に大変です。

もちろんモデリングのみでの撮影も可能です、ただかなり暗いので使い勝手は悪い・・。

使えるカメラが限られる?

ストロボはカメラによってはストロボとカメラを繋げるコードが刺さらないものもあり、その場合は使えません。
コンデジではほとんどの機種に付いていない端子です。

ただ、以下の2つの場合はとりあえず使うこともできます。

  • ホットシューがある場合はアダプタをつける
  • 内蔵ストロボの発光に他のストロボを同調させる

内蔵ストロボを使った場合は、商品に内蔵ストロボの光もあたってしまうので、正直使いづらいです。

ストロボの種類

ストロボにもいくつか種類があります、代表的なものを3つ。

ジェネレータ

スタジオというとこちらのジェネレータタイプ。ゼネとも言う。

光を溜める部分のジェネレータと発光するヘッド部分がわかれているタイプで、かなり高額だが光量が多く、そして光が安定しています。

赤の矢印が発光部である「ヘッド」で、
青い矢印が「ジェネレータ」です。
ヘッドとジェネはコードで繋がっています、延長コードもありますがあまり使いすぎると光量が落ちます・・。

近頃はヘッドごとに光量を調整できるタイプのジェネも出てきていて、なかなか使い勝手がよくなりました。
デジタル時代用の小さい出力に下げられるものも増えましたね。

モノブロック

モノブロックストロボ

ロケ等外部に持っていくときに便利なモノブロックタイプ。

ヘッドにジェネレータがくっついたもので、特徴としてはかなり小型で持ち運びに便利。
そしてジェネと比べるととても安価です。
光量が少ないものが多く使いづらかったのですが、デジタルカメラになり高感度を使っても問題なくなってからはむしろ光量が低いほうが使いやすいと感じる事も増えました。

光の調整するツマミも一緒にくっついている為に手の届かない高い場所に置くには不利なライトでしたが、近頃ではリモコン等も開発されそれも改善傾向にあります。

時代はどんどん小型かつ安価で光量の調整が細かくできるようなストロボを求めているようです。

個人的には400Wくらいは欲しいところですが、200Wでも良いかもしれませんね。

クリップオン

クリップオンストロボ

ストロボというと一般的にはこちらを思い浮かべるのではないでしょうか?
カメラの上(ホットシュー)にくっつけて使うタイプのストロボです。

モデリングが無いものがほとんどなので、細かく光を調整して撮影するような場合には不向きです。
ストロボの中では一番安価です。ただし一番光は安定しなく、光量も少ない。

近頃ではスピードを求められるようなロケや、機材車を使えない場合にはクリップオンを使う人も増えてきているのではないでしょうか。
私も取材撮影等では使います、ある程度使えるような環境を整えると便利です。

近頃は蛍光灯等の定常光も増えてきた

近頃、蛍光灯の撮影器具も増えてきたようです。

その理由はデジタルカメラになり、少し暗くても問題なく撮影が出来るようになったから。
フィルムではザラザラになって使い物にならなかった高感度もデジタルでは問題なく使えることも多くなりました。

ストロボで上げた利点2つを高感度にすることで補う事が出来るようになりました。
光が安定するまでに時間のかかるものも多く、若干使いづらい部分も残っていますが、色々な利点があるのは確かです。

使いやすいのでプロではない方にもオススメ

瞬間光のようなわかりにくい光ではなく、常時光っている定常光なので見た目にわかりやすいので写真に詳しくない方にもオススメです。

巷によくある「撮影キット」等は定常光のものが多いですね。

定常光いろいろ

これまた色々とあります、いくつかご紹介することにします。

蛍光灯

最初から柔らかい光が使えるのであまり詳しくない人にも使いやすい。
その反面硬い光にはしずらいので、光で季節感を表現するような撮影には向きません。

プロ用の蛍光灯としてキノフロ等がありますがかなり高額。
一般的な蛍光灯を使うライトも多く出ていて、こちらは結構安価で購入することができます。

「撮影キット」の定常光ライトには蛍光灯が使われていることが多いです。
その場合は光を柔らかくするようなライトボックスがセットになっているので使いやすいでしょう。

HMI

ARRI HMI

http://www.takeinc.co.jp/takeinc/product/arri/arri200.html

晴天時の太陽のような光が再現できる定常光です。

光量も大きく明るい光なのでストロボのように使える・・・と思いきや光が安定するまでに時間が長くかかる物も多く、ちょっと使いづらい。

ジェネレータタイプのストロボと似ていて、バラストという電圧安定器と発光部分が別々になっています。
それゆえになかなか高額で、個人で所有するよりもレンタルする人のほうが多いようなイメージです。

HMIは静止画(スチール)よりも動画(ムービー)の人がよく使う機材ですが、近年小型のものが発売されてきていて今後はスチールでもよく使われる機材になるのかもしれません。

LED

LEDライト

LPL 撮影ライト LEDライトVL-960C L26831

ここ数年でなんとなく話題になった照明器具。
いわゆるLED電球をたくさん並べたような形状をしていて、たくさん並べる事によって明るくしている。

現在ではプロ用のでかいものもあるが高価、今ではカメラの上につけるタイプで動画の撮影に使われる事が多い。

というのもデジタル一眼レフカメラがムービー撮影に対応したあたりから脚光を浴びだしたライトで、ムービーでの使用が多い。

スチールに使う人はまだ多くはないのでしょうか。
ただ、消費電力が少なく、電球が切れる事が無いので今後期待されている照明器具ではありますね。

LED照明についてはいくつか購入してみました!
ブログ:スチールカメラマンが考える LED照明機材

色々と説明してきましたが、商品撮影に向いているのは使いやすさや表現力を考えるとストロボですね、慣れているってのもありますが・・・w

蛍光灯も結構使いやすいのですが、光量が少なめなので大きい商品や洋服のモデル撮影・マネキン・トルソー撮影にはあまり向いていないでしょう。

そして照明1つでは厳しいので、2つ、いやそれでは心もとないので3つは欲しい所・・・。

正直、照明やその他のスタンド・バック紙等の機材を揃えるにはかなりコストがかかります。
「商品数が多いので外注するとコストが・・・」という方も多いかと思いますが、商品数によっては撮影単価が安くなったりもしますので、一度プロに相談してみたらいかがでしょうか?

わからずに突っ走るよりも、まずは相談を!

商品撮影に使う機材を具体的に紹介したブログもありますので合わせてお読みください!

商品撮影の方法「まずは機材を揃えよう」
プロ級の商品撮影「まずは機材を揃えよう」

 

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プロカメラマンが使う照明器具あれこれ” に対して7件のコメントがあります。

  1. ひかる より:

    こんにちわ、はじめまして。

    新居で一部屋撮影部屋にしようとおもっています。
    被写体は子供と、ワンコ。
    イメージはよく子どもカメラマンのような、スタジオでの、撮影ってありますよね。
    光が強くすこし白抜けしているような、、
    あんな写真が撮りたいのですが、
    何が必要でしょうか?
    照明はカメラの上につけるタイプのストロボだけではきっとむりですよね??

    使ってる機材は
    Canon7D
    24-105 f4L
    35 f2
    などです꒰ˑ͈◡ˑ͈꒱ ♡ೄ̥̽

  2. 鈴木 遥介 より:

    初めまして!
    一部屋撮影用にするとは、ちょっとうらやましいですw

    さて、照明に関してですが。
    使いやすいのは蛍光灯だと思うのですが、こちらの照明は柔らかい光にしたい時はかなり便利なのですが強い光となるとやりづらいので、やはりストロボが良いのではと思います。

    個人的にはカメラの上に付けるタイプのストロボ(クリップオン)で十分だと思います。
    プロ用の機材だからといって劇的に綺麗になるわけではないので・・。(それに場所を取りますし、スタンド類にぶつかって怪我をされるのも・・と思うのです)

    とりあえずお持ちでないのならクリップオンを1つ買ってみてはいかがでしょうか?
    その場合購入するのは真正面だけでなく真上や横にも動くようなものを購入してみてください、光の当て方によって全く違うものに変わりますよ。

    天井全面に光があたるような使い方がお勧めです。
    いわゆる天井バウンスという手法でネットで調べると色々と説明が出てきますので、調べてみてください。
    後は明るめに撮る事ですね、暗く撮影してしまうとどうしても濁ったようになってしまいますからねw

    とりあえず1つで色々と工夫をしてみて、背景だけ明るくしたいな、とか思ったらもう1つ買ってみたりするといいと思いますよ。

  3. ピンバック: 社内スタジオの撮影照明、買うならストロボを買いましょう | ECカメラマン鈴木遥介「capricious.info」

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