商品撮影専用のカメラはあるのか?

検索ワード「商品撮影」

ここ最近「商品撮影用カメラ」や「物撮り用カメラ」というワードで検索してきてくださる方が増えました。
更に具体的なワードになると「マネキン撮影用カメラ」や「アパレル撮影用カメラ」「靴を撮るカメラ」「洋服を撮るカメラ」…などなど。

そういった「●●を撮影する専用のカメラ」を求めている方は多いのでしょうか?

中でも「EC・ネットショップを新たに初めようと思っていて、自分で写真撮影をしようと思っている方」にとってはわからない点も多く。
後々後悔するには大きい金額になってしまう為、不安ですよね。

結論から言ってしまうと、残念ながら「●●撮影の専用カメラ」というものは存在しません。(ハイスピードカメラとかは別です)

商品撮影専用のカメラは存在しない

●●撮影専用カメラというものは無い、ではどういうカメラが商品撮影に向いているのだろうか。

「コンパクトデジタルカメラ (コンデジ)」で十分でしょうか。
綺麗に撮影するのなら当然「デジタル一眼」?
それとも近年流行りの「ミラーレス」?

正直、ある程度コンデジで十分だと思ってはいますがw
改めてどんな機能・性能が必要なのかを考えてみました。

解像度 1200万画素

解像度はどんどん高画素化していっていまして、近頃では1200~1600万画素くらいがトレンドでしょうか。
メーカーが商品のウリとして高画素化していっただけで、そんなに高画素化する必要無いと言われてたりします。

印刷物に携わるカメラマンとしては高画素のほうが安心なのは確かですが、ネットショップで使う写真にはそんなに画素数は必要ありません。

実際に使われるサイズ

では、実際ネットショップではどのくらいのサイズの画像が使われいるのでしょうか。

本日確認したところ、ZOZOの商品画像の最大サイズは500x600pxで「30万画素」相当でした。

色んなショップがありますが、ちょっと小さめのサイズかもしれません。
商品の数が多く、1つの商品に対して写真が結構多いので容量はどうしても大きくなってしまうので写真1枚は小さめにしているのでしょう。

大きい写真で細部までズーム出来るのが必ずしも良いとは限らない

今まで経験した中で、一番でかい画像を使っていたシステムは1000x1500pxで「150万画素」相当でした。
「写真をズームして見れる」という事をウリとしてショップの運営会社が開発したシステムでしたが、それが購買意欲に繋がったかといったら、繋がらなかったのだろうと思います。

知人に「今こういう撮影をしていて、そこで使っているシステムが・・」という話をした時、そのシステムを聞いての反応は「ふーん、そうなんだ」程度でした。
全ての写真でズームを出来るよりも、きちんとアップで撮影された写真が並んでいるほうが見やすいのだろうと思います。

それよりも写真の読み込みにストレスを感じないようにする事のほうが重要なのではないでしょうか。

結論としては・・

結論、画素数だけを見ればコンデジで十分です。

むしろ最大サイズで撮影してしまうと大きすぎる事が多く、HDDを圧迫してしまいます。
必要なサイズで撮影しておけば良いと思います。

ストロボか定常光か

ライトに何を使うかによっても選択肢がかわります。
定常光は「プロカメラマンが使う照明器具あれこれ」で解説した通り、常時点灯しているライトで蛍光灯等の一般的なものです。
(ちなみに太陽光は定常光扱いです)

逆にストロボは瞬間的な光を扱う為に若干特殊な照明器具として扱われます。
ストロボを使って撮影をするためにカメラ本体に必要な機能は。

  • シンクロターミナル もしくは ホットシュー
  • 「シャッタースピード」「絞り」「ISO感動」をマニュアルで設定できる

の2点です。

ストロボを同調させる

ストロボは瞬間的な光です、光ってからシャッターを押すのでは間に合いません。
その為にカメラ本体とストロボをコードで繋ぎ、シャッターと発光を「同調」させます。

それが出来ないカメラではストロボを使って撮影する事はそもそも無理です。

ただシンクロターミナルがついていないカメラもホットシューにアダプタを付ける事によりストロボで撮影が出来ます。
(内臓ストロボで同調させるやり方もありますが、カメラを買おうとする段階の方には若干面倒なやり方だと思うので紹介しません)

ちなみに写真のAがシンクロターミナル、Bがホットシュー。
ホットシューがついているコンデジなら一応ストロボを使う事が可能です。

マニュアルで撮る理由

ストロボには同調スピードというものがあります。
シャッタースピードが早過ぎるとストロボを同調させる事が出来なくなります。

ストロボによっても同調スピードはマチマチなので一丸には言えませんが、1/60~1/125がよく使われます。
1/250で撮影している方もたまにいますが。
色々と試した所、幕切れを起こした事があるので俺は使わないようにしています。

ストロボを使うのならどのカメラ?

ストロボを同調させる事ができ、マニュアル撮影が可能。
というと、コンデジでは選択肢が少なくなります。

全てのコンデジが使えないわけではありませんが、コンデジはストロボでの撮影を一般的には想定していないという事がわかります。

レンズの選択

ズームの出来ない「単焦点レンズ」のほうが歪みが少なく画質も良い事が多くカメラ好きにファンが多い。

ですが商品撮影は商品全体を撮影する事もあり、小さなアクセント部分のアップを撮影する事もあり・・。
まぁ、やはりズームレンズのほうが現実的でしょうねw

コンデジはほとんどのカメラがズームレンズ付きだし、ミラーレスとデジタル一眼は共に色んなレンズを取り替えて使えるのでどれを選んでも撮影する事はできるでしょう。

広角レンズ

広角レンズというのは広い範囲を写す為のレンズで「狭い所で撮影する場合」や「商品との距離が稼げない場合」もしくは「大きな商品を撮影する場合」にとても便利なレンズです。
便利なのですが、広角レンズは光学的に無理をしている事が多いのか歪みが目立つ事も多いので要注意です。

出来るだけ広角では撮影をしないほうが良いのですが、現実的には無理な事も多いでしょう。

そこで性能のいいレンズを使いたい、というわけですが。
この場合コンデジには分が悪い・・。

色々と難しい話はあるわけですが、簡単に言うとセンサーサイズが小さいのとレンズ自体が小さい事が画質に影響してしまいます。

一般的には
「デジタル一眼 > ミラーレス >>コンデジ」
といったぐらいの違いがあると考えていいでしょう。

オマケ「プロ御用達のレンズ」とは

プロもズームレンズをよく使います。
その中でもプロ御用達のレンズで「F2.8(ニッパチ)レンズ」と呼ばれるものがあります。

「これを買っておけば、まぁ問題ないだろう」と思わせる高級レンズで。
プロになったら後々「レンズはニッパチで揃えたいよねー」という会話があったりなかったりw

  • 16-35mmF2.8
  • 24-70mmF2.8
  • 70-200mmF2.8
  • 300mmF2.8

スペックはメーカーによって少し変わったりするのですが「広角ズーム」「標準ズーム」「望遠ズーム」「望遠」にそれぞれF2.8で高級レンズが用意されています。

特に24-70mmと300mmは「ニーヨンナナジュウ」「サンニッパ」と呼ばれ、カメラファンやプロカメラマンが憧れます。

解像度や歪みが他の安いレンズとは一線を画す性能を誇るわけですが、そのうえ絞り開放がF2.8なのでよくボケます。
絞りの形が円形になっているのでボケの形も綺麗・・建物を撮るにも人を撮るにも最適なレンズ群なんですね。

といっても絞りとかよくわからないと思うので、そういうものがありますよ、というぐらいでw
ちなみに300mmは50万円くらいで、その他は20万円くらいします。

独立したてでニーヨンナナジュウを買う時は緊張したもんです・・・。

レンズとカメラの相性

さて、そんなプロ御用達の高級レンズですがどんな条件でも最高のクオリティになるわけではありません。
高いレンズでも設計やコーティングか古いと最新の安いズームのほうが良い時もあります。

その他にも、カメラと相性が悪いレンズもあって…なかなか難しいもんです。
実際にD7000と24-70mmF2.8の相性で悩んでいて、一定の条件で画質がイマイチでちょっと使いづらい時が・・。

まぁ24-120mmっていうレンズも持っているので使い分けるようにしています。
こういう所がプロっぽいでしょ?w

テザー撮影が出来るか

テザー撮影やリモート撮影、カメラマン同士では直結撮影とも呼ばれる「カメラをPCから遠隔操作して撮影」が出来るソフトウェアがあります。
これがなかなか便利で、撮影した写真がすぐにPCへ転送されるのでそのまま写真を確認することができます。

シャッタースピードや絞り等もPC上から変更出来る上に、ライブビュー撮影がPC上から行えます。
そんなに重要なことではなさそうなこういったサポート機能ですが長時間撮影をする上では重要な機能となります。

テザー撮影が使えるカメラ

現状NikonもしくはCanonのデジタル一眼レフカメラでしか対応していません。
ミラーレスも対応するのではないかと思っていたのですが、現状では対応していないようです。

ちなみにデジタル一眼レフなら全ての機種が対応しているかといったらそうではなく、一部は対応していません。
まぁ、ほとんど対応しているのですが一応購入するときに対応表を見るか店員に聞くかしてみると良いですね。

さて、なんでもいいと言ったわりに最終的にはかなり絞られてしまいましたねw

画素数 ストロボ レンズ テザー
コンデジ x x
ミラーレス x
デジ一眼

「ストロボを使った撮影をするのか」「テザー撮影を使いたいのか」でほぼ決める事ができるのではないでしょうか。
後は・・好みでしょうかねw

デジタル一眼は一番小型のものを買っても「持ち歩くのはちょっと・・・」と思う人も多いと思うので、趣味としても使いたいと思う人はコンデジ・ミラーレスがいいかもしれません。

参考エントリー:プロカメラマン的「お勧めカメラ」の条件

最新のカメラが良い

最後に。

先輩カメラマンに一番高い機種を買うよりも、プロがサブ機として使うような中級機を出る度に買い換えている人がいました。
当時は高いプロ用機種を長く使うほうが、頑丈だし安心感が違うと思っていたのですが、今では賢い買い方だと思います。

新しいカメラは画素数が増えたり好感度のクオリティが上がるのは新しいカメラなので当たり前ですが、商品の発色が昔のものよりも良い事が多く。
機能表等に現れる数字とは別の部分でも性能はアップしているということです。

なので少し手軽なカメラを新しいものが出る度に買い換えるのはなかなか賢い買い方だな、と思います。
まぁ・・高いカメラは使い勝手や頑丈さが全く違うので買いたい所ではありますがw

商品撮影の方法「まずは機材を揃えよう」
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