プロカメラマンが教える商品撮影「まずは機材を揃えよう」

プロカメラマンが教える揃えるべき機材

「プロカメラマンが教える商品撮影」の第二回目は機材についてです。

商品を撮影するのにまず必要なこと、それはカメラと照明機材の選び方と使い方を知ることです。
商品撮影に限った話ではないのですがまずは道具について知ることから始めましょう。

というわけで、今回は「どんな機材が必要なのか」そして「その機材を揃えるにはどのくらいの金額がかかるのか」を具体的に取り上げていこうと思います。

目次

  1. カメラは一眼レフを
    1.1 選ぶべきカメラ
    1.2 必要なレンズ
  2. 三脚は必要です
    2.1 雲台は3way雲台を
  3. 照明機材はストロボを
    3.1 明るい部屋で撮影ができるストロボ
    3.2 趣味ではなく仕事として商品撮影をするのなら
    3.3 選ぶべきストロボ
  4. ストロボとシャッターを同期させる
    4.1 シンクロターミナルとホットシューアダプタ
    4.2 ラジオスレーブを使う
  5. 金額まとめ

プロカメラマンが教える商品撮影 まとめページ
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カメラは一眼レフを

カメラ

まずはカメラの選び方について

  1. ホットシューもしくはシンクロターミナルがついている
  2. マニュアル操作が使える
  3. PCとカメラを繋げて操作するテザー撮影ソフトが使える(社外品も可)

以上が最低限必要と考えてください。

1・2についてはストロボを使うのに重要な仕様です。

3については撮影後にカードをPCに繋げてデータを読み込む・・みたいな作業は無駄な時間ですし写真はカメラの小さい画面ではなくPCで確認するほうが良いからです。

特にプレビューしながら撮影ができるのは平置き撮影のとき特に便利な機能です。

選ぶべきカメラ

というわけで商品撮影をするうえで選ぶカメラは「デジタル一眼レフカメラ」です。

デジタル一眼は高いというイメージがあると思いますが、NikonのD5やCanonの1DXMk2などの最高級機(フラッグシップモデル)は必要ありません。

EOS Kissのようなエントリーモデルでも十分かもしれませんが使い勝手のよさからいうとハイアマチュアモデルもしくは中級機などと言われているモデルがお勧めです。
といってもここはあまり責任はもてません、エントリーモデルを真剣に使い込んだことがないからです。

中級機以上のモデルはボタンの配置などが使いやすく作られています、なのでエントリーモデルを使いたいとは思えません。

私はNikonのD7200を主に使っています。
Canonなら80Dあたりが同じランクのカメラでしょうか。

必要なレンズ

レンズは通常の撮影ならキットレンズで十分です。

指輪などの小さいものを撮影する場合はマクロレンズのほうが良いですがマクロレンズのみですと他の撮影がやりづらいのでキットレンズ+マクロレンズの2本体制が現実的かと思います。

レンズは広角~中望遠をカバーするようなものが使いやすいでしょう。

大抵キットレンズはそういうレンズが付いているのでそんなに考える必要はありませんが、ダブルズームキットは不要です。
ダブルズームキットはチープだし案外使いづらい事が多いのです。

価格はキットレンズセットで15万程度あれば十分でしょう。
中古で買うともう少し安くなりますフジヤカメラやマップカメラなどが有名です。

中古で型落ちモデルを購入するのも悪くはありませんがあまりに古い機種を購入するのは避けましょう、画質が段違いなので。

三脚は必要です

三脚

三脚は無いと撮影ができない、というわけではありませんが必要だと考えてください。
ずっと手で持って撮影をするのは疲れますし試行錯誤する中では三脚に据えて撮影するほうが便利です。

三脚は安いものは買わないほうが無難です、おまけで付いてくるようなチープなものは受取を拒否しましょう。邪魔になるだけです。
三脚は安定性が重要です、なので軽いものよりは重いものがいいと思います。

カーボンを使った軽さが特徴の高級三脚がありますがあれは外に持ち出す時のもので仕事場に置きっぱなしにするような運用方法の場合には重い三脚が使いやすい上に安価です。

プロが使う三脚メーカーとしてはHusky・Manfrotto・GITZOが多いのですが、SLIK・Velbon・BENROなどでも問題ありません。

雲台は3way雲台を

雲台の種類

雲台は動かす方向を定めづらい自由雲台よりも、縦・横・傾きを別々に動かせる3WAY雲台が商品撮影には向いています。(写真左が3way雲台です)

本来雲台と三脚は別々に売っているものですが一番最初に買うのはセットで買うことをお勧めします。
三脚・雲台セットで価格は2~3万程度あれば良いでしょう。

照明機材はストロボを


ストロボ

照明機材は色々とあります、蛍光灯を使った撮影機材もあるしLEDの照明機材も増えてきていますが、現状は安定したクオリティや撮影スピードを考えると最もよく使われるのがストロボです。

他の照明機材とくらべて以下のようなメリットがあります。

  1. 瞬間光なので手ブレしずらく場合によっては三脚を使わないで撮影が可能なので、撮影スピードが速い
  2. 蛍光灯などの地明かりの影響をほとんどうけない
  3. 光量調整の幅が広い、強くもできるし弱くもできる機材が多い
  4. オプションが沢山あり多彩な撮影方法が可能

私のような撮影代行となると色々な商品や撮影方法があるので光量の調整やオプションはかなりのメリットです。
ですが自社製品のみを撮影する場合は統一された撮影環境になるので、そんなに重要ではないでしょう。

そんな中、重要となるのは1・2です。

家についている蛍光灯など常に光を放ち続けるものを定常光といい、一瞬しか光らないストロボは瞬間光といいます。
詳しい説明は省きますが瞬間光を使うことで手ブレがしづらい撮影が可能です。

通常は三脚を使って撮影しますが細かい部分は手持ちでパパッと撮影することができるので撮影スピードが格段に上がります。

明るい部屋で撮影ができるストロボ

撮影風景

定常光の照明器具を使って撮影する場合は真っ暗な部屋で撮影用の照明器具のみを使わなければいけません。

複数の照明を使う際には色の問題や明るさがチグハグになってしまうなどデメリットが多くあるので不要な照明は消す必要があるからです。

ストロボは大きな光を一瞬光らせるだけなので定常光の影響をほとんど受けません。
なので部屋についている蛍光灯などを使った状態でも撮影が可能になります。

この点は一人で撮影している分にはあまり利点と感じないかもしれませんが撮影とその他の作業を同じ部屋で行うさいにはかなりの利点となります。

ECで販売することを考えてみると、撮影以外にも画像を加工や販売ページの説明文のライティング作業もあります。
アパレルだったら商品の採寸もしますね、お客様から問い合わせの電話もくるかもしれません。

これらの仕事は真っ暗な部屋ではやり辛いはずです。

趣味ではなく仕事として商品撮影をするのなら

趣味ではなく、仕事として撮影をするのなら照明機材はストロボが断然便利です。

企業向けに撮影を教えに行くこともあるのですが定常光(蛍光灯が多い)の照明機材を使って撮影していることが多く、いつも非効率的だと説明しています。

担当者としては購入してしまったのである程度販売実績を上げてからストロボ購入を会社に検討させなくてはならないようで、ストロボの導入はしてもらえないことがよくありました。

買ってしまった場合でも買い換えるべきだと私は思います、それだけ効率が変わってしまうのです。

選ぶべきストロボ

価格や使いやすさを考えるとモノブロックストロボをお勧めします。

モノブロックストロボは電気を蓄える部分と発光する部分が1つになっているうえに小型で扱いやすいのです。
モノブロックストロボは光量が少なくはなってしまいますがデジタルカメラにとっては逆に使いやすいでしょう。

価格や修理のしやすい国産品を選ぶとすると

  • プロペット
  • コメット
  • サンスター
  • トキスター

がお勧めです。

安価な撮影キットなどもありますが「不安定」であったり「チャージが遅い」「操作系が使いづらい」という商品もありますのであまりお勧めできません。(実際に使ってみたことがあります)

ストロボは基本2灯用意してください、そのままだとかなり硬い光になりますのでディヒューザーも必須と考えてください。
ストロボを立てるのにスタンドが必要なので購入したストロボと同じ本数を購入します。

  • ストロボ本体 60,000円
  • スタンド 7,000円
  • ディヒューザー付きアンブレラ 7,000円

1セットでこのくらいの価格です。
フジヤカメラでストロボの中古を購入すればもう少し安くなりますがいつもあるわけではなくかなりレアです。

ストロボとシャッターを同期させる

シャッターを切った際にストロボを発光させるためにストロボとカメラをコードで繋げます。
その繋げる際に別途アダプタを購入しなくてはいけない場合があります。

シンクロターミナルとホットシューアダプター

カメラとストロボを繋げるケーブルを使うためにはカメラ側に「シンクロターミナル」が必要になります。
このシンクロターミナルは高級機にしかついておらず前述したNikonD7200やCanon 80Dにはついていません。

ただしカメラのホットシューにホットシューアダプターをつけることでシンクロターミナルを後付することができます。

ホットシューアダプターとシンクロコード

ラジオスレーブを使う

コードを使う方法はストロボとカメラが繋がった状態になってしまいとっても邪魔。
そのうえPCとカメラを繋げて撮影するとなるとコードが2本つながっていることになりかなり邪魔です。

というわけで無線で同期させる商品があります。
名称は大抵ラジオスレーブと言われているものです。

ラジオスレーブ

カメラ側につけるのが発信器、ストロボ側につけるのが受信機とよばれます。
これを使えばコードで繋げる必要はありません、かなりお勧めです。

価格としては5,000~30,000円程度とかなり差があります。
安いものは壊れやすいことが多いので注意してください。

ストロボメーカーが出しているものならある程度安心できると思います。
ただ若干高めです。

とうとう使っていたラジオスレーブが壊れてしまいましたので新しく購入したのがYONGNUOのものです。
こちらは単4電池で動くので電池の管理がしやすくていいですね。

金額まとめ

金額をまとめます

  • デジタル一眼レフカメラ・キットレンズ 150,000円
  • シンクロ接点付きホットシュー 1,500円(もしくはラジオスレーブ)
  • ストロボ2灯スタンド・カサバン付き 150,000円
  • 三脚(雲台付き) 30,000円
  • 背景紙 5,000円

合計 336,500円になります。
さて、いいお値段となってきました。

今回はバッグ・平置き撮影・マネキン撮影などの反射物のない撮影を想定した機材です。
光り物の撮影は考慮していません。

背景紙は壁に貼り付けて使う場合を想定しています、スタンドで立たせて使う場合にはスタンドとポールがセットになっている商品を購入する必要があります。
バックグラウンドサポートというような名前で販売されており5,000~30,000円ほどと幅があります。

以上「まずは機材を揃えよう」でした。
次回はカメラとストロボの使い方ですが1ヶ月後・・よりは早く更新する予定です。

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  1. ピンバック: EC・ネットショップの撮影にはストロボだろ!Vlog | ECカメラマン鈴木遥介

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