アパレルの撮り方「成形で変わる!ネットショップの商品写真」
商品撮影というと色々な撮影方法があります。
アパレルの商品だったら平置き撮影とトルソー・マネキン撮影ではイメージは全く変わりますよね。
同じマネキン撮影でも雰囲気やイメージを変える方法があります。
それが「商品の成形」と「ライティング(照明の当て方)」です。
ライティングに関しては後日取り上げるとして、今回はアパレル商品(洋服)の成形方法を実例を交えてご紹介していきたいと思います。
目次
トルソー・マネキン撮影
まずは「トルソー・マネキン撮影」です。
商品の着用感を伝えるのに適している撮影方法です、いい意味でも悪い意味でもネットショップ感が強い撮影方法です。
首周り
Tシャツなどでは変えることは出来ませんがシャツなどボタンやジッパーががあるものについては開ける・閉めるで表情が変わります。
どういう着方をしてほしいかによって使い分けることができます。
シャツなんかはフォーマルシーンで着るようなシャツだったら開けないで撮るのが良いでしょうしクールビズスタイル推しの商品だったら開けて撮ったほうが良いでしょう。
マウンテンパーカーは雨風を防げるような商品なのでどちらかといったら全部閉めて撮るほうがいいか・・なんて考えました。
レディースの商品はボタンは開けないで撮影することが多いような気がします。
腕で表情を作る・小物などを持たせる
マネキンの腕の形を変えられるものについてはポージングを変えることができます。
用途に合わせたポーズや小物を持たせるなどして商品の雰囲気を伝えることもできますね。
こういった全身が動くようになっているマネキンもあります!
着せてマネキンの形を整えて・・なんてやってるとかなり時間がかかりますけどねw
というわけで、マネキン撮影は商品の成形という点ではあまり種類がありませんでしたね。(特にボトムスはやることがありませんw)
この他にも商品のサイズ感は重要だと思います。
「オーバーサイズをだぼっと着て欲しい」みたいなブランドや「ジャストサイズでビシっと着て欲しい」というブランドでは全く違うのでブランドや商品の特徴を考えてサイズを選ぶ必要があります。
トルソー・マネキン撮影作例
ハンガーかけ撮影
お次はハンガー掛け撮影。
着用感を感じさせず商品のみを見せたいときに使われる撮影方法で、自然な縦皺ができるのが特徴です。
ハンガー撮影でも襟
トルソー・マネキン撮影と同じく、襟は開くか閉じるかを考えます。
袖の処理
袖は身頃の前に乗せるのか後ろに挟み込むのかを考えます。
袖の形状や身頃重視のシルエットにするかそれとも袖に特徴があるのでそちらを重視したいのかで使い分けます。
私の場合は特に指示がなければ商品にあった方法をその都度選んで撮影をしていますね。
案外商品によってしっくりくる方があったりするので・・「絶対にこっち!」とは言い切れないのです。
ただショップ内で統一感をもたせたいというのでしたら統一して撮影をしたほうが良いでしょうね。
ボトムスの裾は広げるのか?
ボトムスの場合は裾をどのくらい広げるかを考えます。
ワイドパンツやスカートなどの場合は広げて撮影をするかそれとも成り行きに任せるのか・・重要ですね。
ようは自然な形にするか誇張するかですが、参考写真は左から右に向かってより誇張して撮影したものになります。(一番右はテグスで左右に開いて撮影をしました)
特に参考写真のようなパンツ(いわゆるスカンツ・スカーチョ)などを撮る際には広げるのか成り行きにするのかで写真の見え方はかなり変わりますね。
左のように広げずに撮影した場合には詳細カットで片足を広げるようなカットも入れると良いでしょう。(参考カット参照)
近年こういう商品流行ってますよね~、かなり撮る機会が増えました。
ハンガー撮影作例
平置き撮影
最後は平置き撮影です。
ハンガー撮影のように商品だけを見せたいときに使われる撮影方法ですが、ハンガー掛け撮影と違うのは「より多彩な表現方法」です。
床に置いて撮影するので重力で引っ張られない分、腕や裾などにより動きをつけた撮影ができますし皺をあえて入れることもできます。
平置き撮影でもまずは襟から
どの撮影方法でも襟は基本ですね。
ハンガーが無い分商品がより目立ちますしブランドタグも見せることができます。
裾にも動きを
ハンガー撮影とは違い裾もボタンやジッパーを開く・閉じるを選ぶことができます。
ただ開けるだけではなく裾をめくって撮影することで動き表現することが出来ますし、裏地を見せることもできます。
腕の処理にもうひと工夫
ハンガー撮影と同じく身頃に乗せるのか背面に挟み込むのかを考えます。
その他にも腕の間接で曲げることで動きをつけられます。
間接部分で曲げることで身頃に乗せることもなく自然な形にできるのも良いところですね。
フードを広げて撮影することができる
平置き撮影だとフードを上部に広げて撮影することができます。
その他にも背中に織り込んで撮影する場合もありますが、その場合は首周りが少し厚みができるので生地が薄い商品だと結構目立ちます。
私の場合はフードを広げて撮影することが多いですね。
ボトムスは足に動きを!
ハンガー撮影と同様に広げるかどうかを判断します。
袖と同じように足に動きをつけることができます、膝辺りで折ると自然に動きが表現できます!
お尻の処理
パンツの背面撮影ではどうしてもお尻部分が余ってしまいます、それを立てて撮影するのかそれとも中に無理やり入れ込むかを判断します。
横から見るとこのようになっています。
横から見ると立てているほうはかなり違和感があるのですが真正面から撮影するとほとんど気にならないのではないでしょうか。
これも商品によって使い分けます。
どちらかというと立てて撮影することが多いですね。
印刷物時代は背面を撮ることが少なかった
私は通販カタログなどの印刷物向けの撮影もするのですが、商品の背面を撮影することはあまりありません。
特に平置き撮影だと背面の撮影はしたことがないかも・・。
印刷物だと写真を掲載する場所が限られていたので背面はあまり撮影しませんでした。
EC・ネットショップになって掲載できる写真が劇的に増えたおかげで背面も撮影するようになりましたが印刷物を得意としてきたカメラマンは背面の成形ができない人が結構多いように思います。
私自身、最初に背面を撮影するときには少しとまどいましたね。
袖ってどうすりゃいいんだ・・?パンツのケツ余るんだけど・・?懐かしい思い出ですw
全体的に動き・皺をつける
平置き撮影は他の撮影よりも形の成形が多彩です。
首周りや袖だけではなく、身頃自体にも動きをつけることができます。
あえて皺を入れて、袖や裾もより大胆に動きをつけてみましたがいかがでしょうか。
平置き撮影で野暮ったくなってしまうような商品でもシルエットを細くして撮影するとシャープな印象を与えることができますね。
アンコ詰め
平置き撮影でも厚みを付け立体感を出して撮影することができます。
服の中に紙などを入れて厚みを出すのですが「アンコを詰める」や「アンコを入れる」と呼ばれています。
通常と比べると厚みが出来る分影の出方も少し変わってきますね。
このようにアンコを詰めます。
今回は薄葉紙(うすようし)を使いました。
平置き撮影作例
〆
以上、撮影方法ごとの商品の成形箇所・作例を見ていただきましたがいかがでしたでしょうか。
ただ「着せる・掛ける・置く」だけでなく商品の形を意識して変えることで「どういった着方をしてほしいのか」「どういったシーンで着てもらいたいのか」「どんな人に着てほしいのか」を表現して購入への大きなひと押しをしましょう!
ちなみにですが、見ていただいた通り平置き撮影は手を入れる部分が多いうえに成形は難易度が高く時間もかかります。
他社の料金プランでは平置き撮影を一番安い料金プランとして提供しているところも多いのですが・・私の料金プランでは一番高い料金設定になっています。
ただ置いて撮影するのではなく、商品ごとにより良い形に成形しているということをご理解いただけますと幸いです。
余談ですが「成形」と「整形」で漢字を迷いましたw
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