ミラーレスα7IIIは商品撮影カメラに使えるのか?
写真撮影の仕事ではNikonの中級一眼レフカメラ(現在はD7200)を、動画の撮影ではPanasonicのLUMIX GH4を使っていて満足していたのですが夏頃にSONYのα7IIIを購入しました。
というのも写真と動画の案件を同時進行していきたい場合には写真用のD7200と動画用としてGH4を持っていくのが「正直頭悪くない?」と思っていたからです。
NikonのFマウントとPanasonicのフォーサーズを持ち歩くことになるとレンズも倍ですからね・・・無駄に増えてしまう荷物を少なくしたいということからα7IIIを購入しました。
今まで使っていたカメラ
さてここで疑問に思う方が多いでしょう「NikonもLUMIXも、動画と写真撮れるじゃん?」と。
というわけで、まずは今まで使っていたカメラの説明をしたいと思います。
写真撮影用の一眼レフカメラ
まず写真撮影用として使っていたNikonの中級機D7200です、写真撮影としては問題ありませんが動画撮影には難があります。
動画撮影をするときはライブビュー(以下LV)を使うわけですが、LV時のオートフォーカス(以下AF)の動きがめちゃくちゃ迷う上に遅いんです。
多分コントラストAFだからだと思うのですが、フォーカスを迷っているときになるカタカタ音も煩いし映像的にもフォーカスが迷っているところはかっこ悪い。
マニュアルフォーカス(MF)を使えばいいのかもしれませんが・・・難しいw
動画撮影用のミラーレスカメラ
GH4については写真のクオリティが納得がいきませんでした。
それは画質的な問題とレンズの問題です。
フォーサーズなのでフルサイズと比べると2倍の焦点距離になるので、フルサイズ70mmで撮影する場合はフォーサーズだと35mmで撮影することになります。
35mmというと広角レンズです、商品の形をきちんと見せたい商品撮影には向いていません。
案外歪むんですよねぇ35mmって・・・。
動画は凄く良いのですがねぇ、長時間録画ができるし動画としてはフォーサーズの被写界深度は使いやすいと感じます。
元々インタビュー動画を撮影するために用意した機材だったので長時間録画のGH4はいい選択だったと思います。
GH5はもっといいんだろうな~なんて思うわけですが、レンズの焦点距離のことを考えると今買うカメラではないなと。
この一長一短ある2台のカメラ、1台にしてしまいたい・・。
写真も動画も使いやすい&画質に満足できるカメラ、それって・・・α7だよね!ってことで購入することにしました。
α7IIIは商品撮影に使っていけるのか?
α7IIIを購入した時は「一日中商品撮影をバンバンこなすカメラ」として買ったわけではありませんでした。
「ロケ撮影のときにカメラ1台でイメージ写真撮影などをゆっくりとこなしつつ、動画も撮影する」ような使い方ができれば良いなと思っていました。
ミラーレスカメラは一眼レフと違い、ずっとLVで撮影するので映像センサーを使い続けているわけですよね。
なので当然消費電力が大きくなるしカメラが熱を持ってしまうのではないかと考えました。
熱がたまり続ければ熱停止してしまう、そうするとカメラが冷えるまで仕事ができないということになりかねないのでは?と思っていました。
というわけで、届いてからは動画撮影カメラとして楽しくテスト撮影をしていたのですが、ふと「このカメラ、写真はどんなもんだろう?」と思いたち商品写真撮影のカメラとして使えるのかどうかのテストを始めました。
それまでも公園で簡単なイメージ撮影やスナップするくらいには使っていたので、画質的には全く問題ないと感じていました。
といっても、仕事として商品撮影をバンバンこなすような用途に合っているかどうかは正直わからなかったんですね。
商品撮影に必要な要素
さっき言ったように画質の点は問題ありません。
というよりも流石フルサイズなだけあってダイナミックレンジが広くRAW現像で調整すると白飛びや黒つぶれだと思っていた部分が浮かび上がってきて階調や色に関してはかなり良くD7200よりも画質が良いと感じています。
では他に何が必要かというと「安定して使い続けられる」「テザー撮影ができる」ということです。
熱停止してしまい撮影が長時間続けられないのなら使い物にならないし、テザー撮影ができないのなら仕事で使うには手間がかかりすぎる。
α7IIIは熱停止するのか
結論からいうと、α7はテザー撮影時はずっとLVが動き続けスリープになることはありませんが熱停止することはありませんでした。
昼食時以外はずっとテザー撮影の状態を保ちましたが熱停止しませんでした。
時間からすると10時~19時(昼食1時間は停止)という感じです。
NikonだとLVを一定時間使用すると停止するようにできています。
おそらく10分程度ほうっておくと停止すると思います。
(すぐにライブビューを開始することはできます、ただカメラが温かくなっているw)
α7IIIをカメラに触らず10分ほど放置してみましたがスリープになることもなく、使い続けられました。
というよりも一日中LVを使い続けても勝手に停止することはありませんでした。
スリープしない仕様かつ熱停止することもありませんでした。
Remoteでテザー撮影を試す
テザー撮影をしても熱停止することはなく使い続けるられることがわかった、次は使いやすさはどうかです!
使い勝手は重要です「一応PCと繋げて撮影できますよ」ぐらいじゃあ話にならんわけです。
ちなみにNikonのテザー撮影ソフトであるNikon Camera Control Pro2は有料で16,600円ほどですがSONYのテザー撮影ソフト「Remote」は無料です!
Canonも無料で、有料なのはNikonくらいなもんですねぇw
SONY Image Edge
Nikon Camera Control pro2
で、使い勝手ですが結構良いです。
Canonのソフトはあまり使ったことが無いのでふれられませんが、正直言うとNikonのソフトよりも使い勝手が良いです。
Remoteのいいところ
良いところを箇条書きにすると・・
- テザー撮影時でもカメラ側で液晶・ファインダーが使える
- 画面が見やすい
- ショートカットが充実している
- PCに繋げたまま電源をOFFにすると充電される
- AFのスピード・精度ともに高い
Nikonのカメラでテザー撮影をしていていつも不満に思っていたのが、ライブビューを使っているとカメラ側ではファインダーと液晶が真っ暗になってしまい全く操作ができなくなってしまうんですよね。(Canonは知らない)
α7IIIではそれが全くないですねー、全て動かせます。
追記:CanonはPCでライブビュー表示しているときもカメラ側の液晶がつかえるそうです、一眼レフならCanonのほうが便利かも
そして操作パネルが大きいのもいいですね、ライブビューの画面も大きいので見やすい。
ショートカットが充実しているのも直感的に操作できるようになったらかなり使いやすいです。
Nikonはシャッターを切るショートカットだけしかないのですが、SONYのソフトはf値やLV表示・非表示などもショートカットで操作できます。
ショートカットがたくさんあるぞ!
現在よく使うショートカットは
- シャッター (1)
- AF/AE (G)
- AF/MF切り替え (P)
- LV表示・非表示 (Ctrl + L)
- LV拡大表示 (Ctrl + M)
- f値上げ/下げ (c / shift+c)
ショートカット一覧:https://support.d-imaging.sony.co.jp/app/imagingedge/ja/instruction/6_3_keyboard_shortcuts.php
ショートカットの割当が脈絡がないのでできれば自分で割り当てられるといいのになぁ・・と思いますね。
あと、これは良くない点ですがRemoteがアクティブ状態でないとシャッターが切れません。
閲覧ソフトで写真を確認して撮影するときにRemoteをアクティブにする、これは結構ストレスたまります。
Nikonはアクティブ状態でなくてもシャッターが切れていたのでちょっと残念・・・。
できたら最高なのになぁ!!!
α7・Remoteに希望すること
今後バージョンアップをしていく際に追加されるといいなーと思っている機能を上げます。
- Remoteがアクティブ状態でなくてもシャッターが切れる
- AFなしでシャッターを切るっていうショートカットもほしい
- ショートカットの割当カスタム
- f値などをキーボード入力、もしくはプルダウンで選びたい
- 縦横比の選択肢を増やしてほしい
- カスタムWBをテザー撮影でもとりたい
アクティブ状態でのシャッターとショートカットの割当カスタムは前述した通り。
f値やシャッタースピードなどはショートカットキーを使って上下するか操作パネルのボタンをポチポチ押していくかの二通りですがまどろっこしいので入力するかプルダウンで選ぶかしてほしいですね、結構手間なので。
縦横比に関しては選択肢が少なすぎる、3:2と16:9しか選べないのってどーなんでしょうねぇ?
ミラーレス機なんだからそこは色々と選択できるようにしてほしいなぁ、GH5はできるみたいだしなぁ。
1:1で納品することは結構多いので撮影の時から1:1になっていたらめちゃくちゃ便利だと思うんだけどなぁ、後々トリミングで1:1にするのもそれなりの手間がかかるもんなんですよ。
ホワイトバランス(WB)のカスタムがテザー撮影時のときに使えないのって結構不便だと思うんですよねぇ、天井近くにカメラ据えるってこともありますからね。
α7III・Remoteのよくないところ
色々あるのですが。
- USBの端子カバーが邪魔
- カメラが小さくて持ちづらい
- 反応は若干遅い
- ファインダー(EVF)はあまりよくない
- 液晶モニタがあまりよくない
- テザー撮影時の拡大表示が5.9倍~と大きすぎる
- Remote(テザー撮影ソフト)がフリーズする
テザー撮影が基本なのでずっとUSBケーブルを挿して撮影するわけですが、端子のカバーが邪魔なんですよね。
これ、邪魔なんで切りました!
USBケーブルをグイグイ圧迫するんで最悪です。
で、サイズが小さいからブラケットもつけました。
このブラケット、USBケーブルの抜け防止やガードにもなるのでかなり使いやすい!
購入したのは以下の商品。
EVF・液晶モニタについて
EVF・液晶モニタについては残念ながらあまりいい印象ではありません。
EVFに関しては一眼レフのような光学ファインダーとは違い少々見づらいのは仕方ないと思いますが、AF合焦後に映像が荒れるのが使いづらい点です。
シャッターボタンを半押しすることでAFが合焦するわけですが半押ししている間は映像が荒れてしまいピントが合っているのかが少々分かりづらいのです。
シャッターボタンから指を離すと綺麗になりピントがあっているのがわかるので・・これは直せる仕様なのではないかと思っています。
液晶モニタは解像度は問題ないのですが、若干階調表現に難があるようでグラデーションが綺麗に表現できていない感じです。
テザー撮影について
テザー撮影しているとき、より大きく表示して細部をみたいときがあります。
そのときに拡大表示するのですが5.9倍と11.7倍しか選べないのが結構使いづらいのです。
もう少し細かく選べるといいんですけどねぇ、2倍3倍はほしいなー。
それよりも重要なのがRemoteがフリーズするということです。
α7IIIは熱暴走することはないのですが、Remoteがフリーズしてしまうんですよ・・。
Remoteのフリーズ
Remoteを使用時不意にUSBケーブルが抜けてしまったりカメラをOFFにしたとき、カメラを改めてPCに繋げるとRemoteがフリーズしていることがあります。
頻度としては日に2回くらいです。
RemoteがフリーズしてしまうとRemoteがカメラを認識してくれなくなります。
(このときPCはカメラを認識しています)
USBの抜き差しやカメラのON・OFFで直ることもありますが直らないこともあり、その場合はPCの再起動で直るようです。
USBケーブルの相性でカメラがフリーズ
これ以外にも撮影時にカメラがフリーズすることがあります。
その時はカメラ側のデータ転送が終わらない状態が続きカメラがフリーズします。
この場合は電源のON・OFFだけでは直らず、電池の抜き差しで直ります。
これの原因はUSBケーブルにあるようです。
一度目にフリーズした時はUSBケーブルが壊れてしまいました、この時使っていたUSBケーブルは規格もUSB2.0なうえに5年くらい使っていたものなので経年劣化かもしれません。
そして買い替えたUSB3.0のケーブルも相性がありました。
同じメーカーのものを買っても3mは問題なくても5mは不安定になる場合も・・。
現状使えているUSBケーブルは以下の3点です。
保証はできませんが、よかったら使ってみてください。
ライブビューの表示・非表示で何が変わるのか
RemoteはLVの表示・非表示を選ぶことができます。
カメラ側だとLVはずっと点きっぱなしなので、どうしてだろう?と思っていたのですが・・。
結論からいいますと、LVを非表示にするとカメラのフリーズがほぼ無くなりました。
LVを使うとUSBケーブルに高い負担をかけているということでしょうか。
タスクマネージャーを見てみたところ、LV表示時はGPUが19%使用されています。
LV非表示にすると0%になっていたので、LVを表示するとより多くのデータを送り続けているということでしょうか。
そして、ケーブルが悲鳴を上げる・・と。
これをうけて使わないときはLVを非表示にするようにしたところカメラがフリーズすることがなくなりました。
ちなみにメーカーに問い合わせてみましたが全くわからないようでした、フリーズするという報告もあまりなさそうでしたねぇ。
サポセンの対応もなんか微妙だったんですよねぇ・・プロサービスはどうなのかなぁ。
おまけ:動画から静止画を切り出す
近年デジカメの発達にともない「動画から静止画を切り出して使うようになっていくのでは?」と言われるようになりました。
個人的には「10年後には業務用カメラだったらなってるかもー?」ぐらいに思っていました。
実際に動画から静止画を切り出したものを見ても正直画質がイマイチで「写真としてはまだ使えないかな」と思っていたからです。
いつもフルHD(1920 x 1080px)で撮影していたいたのですが、最近4K(3840 x 2160px)で撮影する機会がありまして「あれ?4Kって結構画質良くね?」と思ったんですよね・・。
ただ単に大きいサイズで撮れるだけだと思っていたのですが、案外画質も良いんですよ。
(試しにGH4でもフルHDと4Kを撮ってみたのですが、同じく4Kのほうが画質良かった)
なんでなん?と思いつつ「これなら動画から静止画切り出しても結構使えるんじゃないか?」と思ったので試してみました。
一応動いているものとして車を撮影してみました。
通常動画ではシャッタースピードを上げずに少しブレるくらいで撮影すると違和感のない動画になるそうですが、今回は静止画として切り出す目的だったので1/1000で撮影したところ上の写真が切り出せました。
4K 30fpsなので1秒に800万画素程度の静止画が30コマ切り出すことができます。
確かに写真を撮るよりも画質は低いですが、これでも使用方法によっては十分かもしれません。
〆まとめ
SONY α7IIIですが・・十分商品撮影に使えます!
NikonやCanonの中級機以上のデジタル一眼レフと比べればボディの操作性は劣るものの、最近はカメラに慣れたこともあり操作性のストレスはほとんどありません。
それどころか気づくとファインダーを覗かずに液晶画面を使って撮影していたり、ミラーレスだからこその撮影方法もかなりいいなーと感じますね。
近頃カメラにワクワクすることが無くなっていたのですがα7IIIを使っていると色々な発見があってめちゃくちゃ楽しいです。
というわけで私はα7IIIをメインカメラとして使っていこうかと思います!